不動産売却でよく起こるトラブルとしては、以下の5つが想定されるでしょう。


物件に関するトラブル
仲介手数料に関するトラブル
境界に関するトラブル
媒介契約に関するトラブル
契約手続きに関するトラブル


順に解説していきます。

物件に関するトラブルは、物理的瑕疵に注意する必要があります。

物理的瑕疵は、建物の雨漏りや配管の水漏れ、シロアリの発生など、取引物件自体に物理的な不都合が存在する場合のことをいいます。

不動産の瑕疵は、売主の責任として故意や過失がなくても「契約不適合責任」という民法上の責任が発生します。そのため隠れた瑕疵や、売主が気付いていない瑕疵であっても、売主の責任として売却後に賠償請求される事があります。売主は売却する物件の状況を、正確に間違いなく買主に伝える義務があるのです。

瑕疵に関するトラブルは、どんな物件にも起こる可能性がありため注意が必要です。売主が発見不可能でも、契約不適合責任は追及されます。

トラブルを防ぐためにも、売主は売却前にしっかりと瑕疵部分を確認することが必須です。自分だけで心配だという場合は、ホームインスペクションと呼ばれる住宅診断を利用して、プロに売却する不動産を確認してもらうのも1つの方法です。

仲介手数料に関するトラブルは、不動産会社と起こってしまう可能性があります。

不動産会社に依頼して物件の販売活動を実施して無事売却を行った場合、不動産仲介の報酬として不動産会社支払うのが仲介手数料です。

仲介手数料は、消費者が不利益を受けないように上限が法律で定められています。不動産の売買価格によって以下の様に変動します。

200万円以下の場合… (売却価格×5％)+消費税
200万円を超え400万円以下の場合… (売却価格×4％+2万円)+消費税
400万円を超える場合… (売却価格×3％+6万円)+消費税

しかし、不動産会社によっては仲介手数料についての説明が不足していたり、支払い時期を明確にしていなかったり、といったケースもあります。

トラブルを避けるためにも、不動産会社とは仲介手数料の取り決めを当初にきっちりと決めておきましょう。

不動産売却において、境界についてのトラブルはよくあるトラブルです。
境界が問題となるのは、土地や戸建の売買の場合になります。

売主には境界明示義務があり、土地や戸建を売却する際は売却前に境界を確定しておくことが必要となります。しかし、隣地の人が境界を承諾せず、売却前に境界が確定できないといったことも起こり得ます。

そのような場合は、売却時に「売主・買主・隣地所有者」の3者で境界の確認を行うと良いでしょう。

不動産売買の際は、あくまでも境界が確定してから売るのが原則です。しかし、境界が確定できない場合は、後からトラブルとならないように、立ち会ったことの合意を締結しておくようにしましょう。

媒介契約に関するトラブルとして、「囲い込み」があります。

囲い込みとは、仲介に入っている不動産会社が売主と買主両方から仲介手数料を得るために、物件の情報を公開せず問い合わせなどを制限する行為のことです。
売主との媒介契約違反として、囲い込みを明確に禁じている会社がほとんどですが、囲い込みを行っている不動産会社も一定数存在します。

囲い込みが行われると、売却活動の遅延が起こったり、物件が安価に売られてしまったりなど、多くのデメリットが発生します。売主は損をして、不動産会社は両手仲介で儲けが大きくなるという悪質な手法です。

囲い込みのトラブルを防ぐためにも、不動産会社の選定は慎重に行いましょう。打ち合わせを行う中で親身な対応を行ってくれるか、販売活動をしっかり行ってくれて進捗状況なども都度教えてくれるか、など不動産会社に丸投げするだけではなく、自身でも不動産売却に細心の注意を払いましょう。

契約手続きに関するトラブルは、契約を交わしたにもかかわらず買主から支払いがなされないというトラブルがあります。

ローンの審査がおりる前に売買契約を締結して手付金まで支払われたが、ローンの審査に通らず残額の支払いができなくなったケースが発生しています。

買主がローンを組めるのかどうか、事前に確認するように促しましょう。ローンがいくら組めるのかは個人情報によって変わってくるため予測が立てにくいです。

ローンの審査に通らなかったため、契約を解除したいという事例は少なくありません。契約を解除するトラブルが起きてしまうと、また新たに売却活動を始目なければいけなくなるので無駄に時間を使ってしまいます。事前にできる対策はしておきましょう。

様々なトラブルが想定される不動産売却ですが、不動産売却のトラブルを避けるためには以下の2つのポイントが重要です。


売買契約書の徹底的な確認
瑕疵担保責任についての理解

売買契約書は、徹底的に確認を行いましょう。

認識の相違が起こりそうな点や、曖昧な表現をされている点は、事前に失くしておく必要があります。ふとしたことで売手側が損失を起こしてしまうことがあるためです。

契約書全てに目を通すことは難しくても、契約解除に関する事項やローンに関する事項は細かく確認を行いましょう。確認を徹底することで、売主への金銭的なリスクを減らすことができます。

契約から売却までスムーズに進むケースが多いですが、契約解除をされる事も少なくはありません。仲介を頼んだ不動産会社に、どのような場合に契約解除が行われるのかを書面上で確認し、買主にもその旨を書面で伝え、合意を得るよう依頼しておきましょう。

瑕疵担保責任についても理解を深めて、細心の注意を払いましょう。

基本的に、瑕疵担保責任によるトラブルのほとんどは、責任が売主に対して追及されてしまいます。例えば、建物の欠陥を知りながら買主に知らせずに売却を行うと、後に賠償請求されます。

不動産を売却に出す前に、物件の隅から隅まで綿密なチェックを行いましょう。そして、不動産の損傷部分など懸念点を買主に正確に伝えましょう。そのうえで納得頂けた場合に契約を結ぶ事が好ましいです。瑕疵担保責任について理解を深め、買主とのトラブルを未然に防ぐようにしましょう。

今回の記事では不動産売却におけるトラブルや、トラブルを避けるためのポイントについて解説しました。不動産売却は大きなお金が動くことから、トラブルが起こりやすくなっています。しかし、不動産売却におけるトラブルを事前に把握しておくことで、トラブルに備えることができます。

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